年越し蕎麦のお話

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更新日:
 2008年9月18日






◎年越し蕎麦
 年越し蕎麦とは、大晦日に食べる蕎麦のことです。日本全国で見られる風習のようです。年越し蕎麦の由来とされる説は「細く長く達者に暮らせることを願って」というものが最も一般的なようです。また、年を越す前に食べきらなければならず、「蕎麦を残すと翌年、金運に恵まれない」などと言われているそうです。
 しかし、何故、大晦日に「細く長く達者に暮らせることを願って」蕎麦を食べるのでしょうか。何となく理屈に合わないような気がします。こんな疑問をもっていたところ、二村一夫氏のコラムを見つけました。二村氏によると、昔は、大晦日の夜は、一年でもっとも重要な食事「お年取り料理」という御馳走を食べていたはずだというのです。以下、二村氏の話を引用します。

 もともと「年越し蕎麦」は江戸の町人の間に生まれた、比較的新しい慣行であり、その由来とされる、「長い蕎麦切りに長寿を願った」とか、「切れやすい蕎麦に悪運を断ち切る願いをこめた」、などは、縁起担ぎに後からつけた理屈であろう。
 それ以前からあった「お年取り料理」の風習とは、「数え年」に関連している。数え年で年齢を計算していたため、正月には全員が年を一つ重ねる。そこで、これを家族全員で祝うのが「お年取り」であり、そのための御馳走が「お年取り料理」なのである。つまり、家族全員の誕生日パーティといった意味合いの日である。
 では何故、それが一月一日でなくて大晦日なのか。それは、かつて夜の灯りが暗く、人びとは太陽とともに働いていた頃、一日は日没とともに終わると考えられていたからなのだ。日没で日が暮れたら、一日が終わり、つまり夜の間からが、新たな日の始まりだったのである。
 その一方、江戸の町人にとっては、大晦日は、おそらく一年中でいちばん忙しい日であったはずである。と言うのも、当時は、物の売り買いは現金ではなく、盆と暮に決済する「掛け売り」が普通だった。年二回でなく、「掛け取り」は暮だけという業種もあったらしい。つまり大晦日(おおみそか)は、半年あるいは一年間に売った商品の代金を集めなければならない大事な日で、町人は超多忙だった。つまり、そんな日に、ゆっくり「お年取り料理」を作って、食べて、祝っている余裕はなく、出前がきく蕎麦で簡単に済ませたのではないだろうか。それが広まって、「年越し蕎麦」となり、さらに「細く長く」などの理由を後から付けたのではないか。
 なるほど、納得できる話である。「年越し蕎麦」を理解するには、「お年取り料理」が必要で、それらと、それ以前にはなかった江戸時代の町人文化が重なった結果、新しい「年越し蕎麦」なる文化ができたものと考えられる。これであれば、「蕎麦」のような簡単、かつ出前が利く料理を大晦日に食べた、という風習も理解できる。また、「蕎麦を残すと・・・」なるものは、「蕎麦を食べられない=取立てがうまくいっていないで、駆けずり回っている状態」であるし、「蕎麦を食べきれない=年末ギリギリまで取り立てに苦労した」ということで、その年の苦労を物語っているため、「翌年は、同じことがないように」、という意味を込めて噂しあったものが広まったのかもしれませんね。






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