紅茶のお話

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更新日:
 2009年1月4日






 ヨーロッパで飲まれているお茶と言えば紅茶ですが、紅茶もいわゆる普通のお茶と同じチャノキから作られています。「お茶の製法による分類」で述べたとおり、茶葉に含まれる酸化酵素の働きで、茶葉を完全に発酵させたお茶が紅茶です。
 もともと紅茶は、中国の福建省武夷山の烏龍茶を進化させて、安徽省の祁門で紅茶が生まれたようです。1870年代の前期、福建省での官職を辞した余干臣が、故郷の安徽省東至県に帰り、茶商となったそうです。その時、福建省での在職中に知った福建省の発酵茶である「工夫茶」の作り方を祁門県の茶家に教え、紅茶作りを勧めたそうです。
 安徽省祁門県の農業家、胡元龍は彼の提案を受け淹れ、1875年から紅茶の製作を始めることにしたそうです。胡元龍は、まず、紅茶製作の方法を各地に視察しに行き、自宅に胡日順製茶工場を建て、専門家を大金で招き、紅茶生産と製茶方法の改良に努めたそうです。
 胡元龍が作った紅茶は、その後、欧州の茶商から高い評価を受け、祁門紅茶が世界中に知られるようになっていきました。この功績から、胡元龍は「キームン紅茶の始祖」と呼ばれています。

 このお茶を初めてヨーロッパに伝えたのは、1560年頃で、ポルトガルの宣教師だと言われています。ただし、この頃のお茶は、いわゆる緑茶で、紅茶ではありません。ただ、このお茶がヨーロッパで広まった訳ではないようです。その頃、ヨーロッパでは、既にコーヒーが広まっていて、アフリカに植民地を持つフランスの独占貿易となっていたそうです。
 この50年後、1610年にオランダ人商人が、ヨーロッパ市場に売り出すため、日本と中国からお茶を買いつけ、ジャワ島のバンタムからオランダ船に積んで本国に送ったのだそうです。最初は、オランダの王侯、上流階級の間で飲まれていたようです。この頃のお茶もまだ、紅茶ではなく、緑茶だったようです。また、オランダ人は、苦いお茶に高価な砂糖を淹れて飲んでいたようです。
 その後、1630年代の中頃から、オランダは近隣諸国のドイツ、フランス、イギリスなどへもお茶を売るようになったようです。そして、これらの国の上流階級でのみ飲まれていたようです。この頃のイギリスでは、茶はteaではなくchaと表記されていたようです。しかし、お茶が、イギリス東インド会社を通して中国の広東から運びだされるようになると、広東語の「テー」から、しだいにteaになっていったのだそうです。
 この頃、ヨーロッパに持ち込まれていたお茶は、中国、武夷の烏龍茶だったようです。この烏龍の茶葉の色合いは、緑茶と比較すると褐色、あるいは黒に近い色をしていたことから、緑茶以外のお茶をブラックティーと呼んでいたようです。このため、紅茶を英語でBlack teaと呼ぶようになったのではないでしょうか。
 このお茶たちは、緑茶よりもヨーロッパの食生活にはあうということで、中国から次第に多く輸出されるようになっていったようです。また、ヨーロッパの需要に応える形で、より発酵度の強いお茶が作られるようになっていったようです。しかし、当時、まだ現在の完全発酵させた紅茶は生まれていなかったようです。

 前述した通り、キームン紅茶が完成するのは1870年頃ですから、ヨーロッパのお茶の主流が紅茶になったのは、早くてもこの頃のはずです。したがって、それまでの200年以上の間は、緑茶から半発酵茶になり、しかも、より発酵度の高い半発酵茶の需要が増えていったものと思われます。技術的に全発酵の紅茶が生まれたのは、1873年にウィリアム・ジャクソンが製茶機を発明し、充分な揉捻が出来るようになってからだそうです。

 つまり、紅茶は、ヨーロッパの人たちの趣向に合わせて作られたお茶だと思われます。イギリスでは、喫茶が文化になっています。イギリスの紅茶文化は、他の国とは一線を画したものがあります。これについては、イギリスの紅茶文化について考える必要があるでしょう。

 ちなみに、紅茶の前身となった福建省の武夷茶は日光で乾燥させて製造する方法だったのに対し、祁門紅茶は焙製(籠に淹れて炭火で熱して乾燥させる)するなど、生産方法が進歩しています。このような改良によって生産量が拡大したのだと思われます。

 昔、「中国から緑茶を運んでいく途中で、船に積んだお茶が厳しい日差しと湿気で発酵して紅茶になったため、ヨーロッパでは紅茶が一般的になった。」という話を聞いたことがありますが、緑茶は、発酵を止めた製品ですから、日差しや湿気を加えても劣化するだけで、発酵が進むということはありません。したがって、緑茶に日差しや湿気を与えても、痛む、腐ることはあっても、紅茶になることはありません。






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