台湾のお茶の話

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更新日:
 2011年10月2日






◎台湾のお茶(2011年9月29日)

 台湾の茶葉栽培は北部、南部、東部の各地に広く分布しています。収穫期は、毎年3月~11月と長いです。各地に、それぞれの特産があります。
 北部は「文山包種茶」、「木柵鉄観音」、三峡の緑茶「龍井碧螺春」、桃園から新竹、苗栗にかけての「椪風茶(東方美人茶)」、中南部は「凍頂烏龍茶」や「阿里山」、杉山渓、梨山などで採れる「高山茶」、東部は「蜜香紅茶」や「紅烏龍」などです。この中で、特に世界中で有名なの台湾のお茶と言えば、烏龍茶や包種茶です。
 台湾行政院農業委員会の統計によると、2010年の総作付面積は14,739ヘクタールで、総生産量は17,648トンだったそうです。同年の輸出量は2,600トン、輸入量は31,100トンでした。
 お茶の主な産地は台北、桃園、新竹、苗栗、南投、嘉義、雲林、高雄、台東、花蓮、宜蘭の各県、市です。台湾には銘茶が数多く、それぞれ際立った特徴を持っています。
 一方、近年は外国産の茶葉を混ぜ、産地偽装して売られている「台湾式烏龍茶」も増えているようです。政府や農家は、このような現状を踏まえ、偽装表示の商品との差別化を図るべく、茶葉を利用した様々な商品の研究、開発に取り組んでいます。ただ、外国人にとっては、依然として凍頂烏龍茶や東方美人茶、文山包種茶、そして阿里山や梨山などの高山茶が人気になっています。
 台湾を代表する7種類の茶葉は、それぞれ以下のような特徴を持っています。

(1)緑茶
 製造工程において、発酵や撹拌の手順を踏まず、そのまま茶葉を加熱したものです。2種類に大別され、日本の煎茶のような蒸熱(じょうねつ)によるものと、龍井茶や碧螺春のように窯炒りするものがあります。煎茶や龍井茶の茶葉は尖った形状で、深い緑に表面に白みを帯び、入れると黄味がかかった緑となり、深くさっぱりした味わいです。主な産地は、桃園、新竹、苗栗、新北市の三峡などです。

(2)文山包種茶
 新北市の坪林や石碇、新店、台北市南港区などで収穫されています。茶葉は、ややS字のカーブを帯びた形で、鮮やかな緑色です。入れると、黄金がかった緑色で、花のようにさわやかな香りに、味わいは甘味があり、のど越しが良いお茶です。

(3)半球型包種茶
 一般に「凍頂烏龍茶」という名で内外に知られている半発酵の茶葉です。南投県鹿谷郷の海抜500~800mの山間部が原産地ですが、近年では、同県名間郷や竹山鎮など、各産地でも栽培されています。布の袋に入れて揉む、揉捻(じゅうねん)の工程を経るため、茶葉は半球形で、深い緑色をしています。入れると黄金色になり、香りが極めて高く、混じりけのない濃厚な味わいです。甘く、いつまでも残る味わいは、深い味と香りを兼ね備えた台湾ならではの茶葉です。

(4)鉄観音茶
 半発酵で、半球型包種茶と製法が似ています。特徴は、最初の乾燥工程で完全に乾ききらないうちに布の袋に入れて揉捻を行い、袋の外側から軽く揉み、球形にすることです。この茶葉をとろ火で焙煎すると、茶葉がしっかりと丸まり、これを繰り返すことによってメイラード反応が起こり、独特の香りと味が生まれ、数回入れても甘味と香りが残ります。入れると赤味を帯びた琥珀色となり、混じりけがなく濃厚、甘味の中にほんのり渋みを帯び、まろやかでフルーティーな味わいです。台北市木柵区と新北市石門区が主な産地です。

(5)白毫烏龍茶
 東方美人茶、椪風茶、膨風茶とも呼ばれている茶葉です。東方美人茶は、6~7月に飛来するウンカに汁を吸われた茶葉だけを選択的に摘むことで作られます。世界中で、台湾でのみ生産されている非常に特徴的な銘茶です。
 もともとは、その昔、有る農家が忙しさのあまり、茶園を放置していたところ、押し寄せたウンカの大群によって、茶葉の汁を吸われ、茶葉が黄色く変色してしまったそうです。しかし、茶葉をあきらめきれなかった農家は、黄色く変色した茶葉を収穫して、お茶に加工したそうです。
 そのお茶は、甘い香りを放っており、たまたま、ヨーロッパの茶商人の注目を集めたそうです。ヨーロッパに紹介されたこのお茶は、フォーモサティと呼ばれました。フォーモサとはラテン語で「美しい」という意味です。
 フォーモサティは瞬く間にヨーロッパでブームを引き起こし、イギリスの女王も、その虜になったそうです。当時のフォーモサティは、今日の東方美人茶とは少し、異なるそうです。現代と昔とでは製茶環境(空調がない、機械がないなど)が大きく異なり、そのため製法も異なっています。昔のフォーモサティは、現代の東方美人茶よりも、さらに緑色をしていたと言われているそうです。
 ウンカに汁を吸われた茶葉は、黄色く変色し、さらに表面が凸凹になります。台湾のウンカは、日本のウンカとは大きさが違います。日本でウンカと言えば、稲の害虫として知られており、大きさは5~10mmほどの虫です。台湾のウンカは、2mm程度の大きさで緑色をしているそうです。
 ウンカに汁を吸われた茶葉は、吸われた部分がレモンのように黄色い斑点になります。沢山、吸われると、黄色い斑点が茶葉全体に広がり、葉全体が黄色く見えるようになります。また、汁を吸われた茶葉は、表面が凸凹になり、曲がります。
 東方美人茶にとって重要なことは、茶葉表面の変化ではなく、茶葉の内部で起こっている現象だそうです。ウンカに汁を吸われた茶葉は、傷口を治癒しようとするために、生理活性物質を作り出します。人間における抗原抗体反応と同じような現象です。この物質が、東方美人茶の特徴的な香りの秘密なのだそうです。
 ウンカに汁を吸われた若い葉を手作業で撹拌しながら発酵させると、蜜のような、また熟した果物のような香りが出てきます。東方美人茶の甘い味の秘密は、長時間の「萎凋」にあります。元々、若い芽を収穫しているため、茶葉に含まれている苦味成分(ポリフェノール)は少ないです。この茶葉を長時間、室内で萎凋をすると、苦味成分が分解され、茶葉に含まれる天然の糖類(ポリフェノールの配糖体)や、アミノ酸類が遊離し、その結果、非常に甘い味に変わるのだそうです。
 新竹県の北埔や峨眉、苗栗県の頭屋、頭份などの地方が主な産地です。最近では、新北市の石碇や桃園県の龍潭でも栽培や販売に取り組んでいます。茶葉は、褐色、黄色、白が混ざった花びらのようでもあり、入れるとオレンジがかった黄色いお茶で、深みのある味わいです。

(6)高山茶
 高山茶は、海抜1,000m以上の地域で栽培されたもので、一般に高山烏龍茶と呼ばれています。嘉義県や南投県の中でも、茶栽培の歴史の浅い海抜1,000~1,300mの地域が主な産地です。高山の気候は涼しく、朝晩の霧が深く、日照時間が短いため、カテキンに含まれる渋みが少ないのが特徴です。また、テアニンや水溶性窒素などの甘味成分が多くなり、葉は柔らかく肉厚、ペクチンも多いです。茶葉の色は鮮やかな緑で、深い甘みがあり、香りは淡くやわらか、入れると蜜のような緑で、数回入れても味が落ちないお茶です。

(7)紅茶
 全発酵のお茶で、現在は、南投県の埔里や魚池、花蓮の瑞穂地区で、独特の香りがする質の良いアッサム種を栽培しています。また、行政院農業委員会茶葉改良場が1999年と2008年にそれぞれ、シナモンとミントの香りをほんのりと帯びた台茶18号と、柑橘類の花が開花した時のような花の香りがする台茶21号の新しい2品種を開発し、国内外で好評を得ています。




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