せんざんき

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更新日:
 2017年5月7日






◎せんざんき(2017年5月7日)
 「せんざんき」とは、東予地方(愛媛県東部)の郷土料理です。東予地方では全国的に知られている鶏の唐揚げの原点で、日本最初の唐揚げと言っているようです。
 せんざんきは、鶏の様々な部位を使って作る骨付きのから揚げです。骨ごと揚げることが重要なようです。骨から出た旨み成分と、あらかじめつけておいた下味が加熱することによって肉にしみ込んでいくため、カリッと揚がった鶏を口に含むとジューシーな味が広がります。
 この「せんざんき」という名前の由来ははっきりせず、諸説あるようです。1つ目の説は、江戸時代、近見山に生息していたキジ肉を使った料理が「せんざんキジ」と呼ばれていたというものです。しかしながら「今治夜話」、「今治拾遺」や「愛媛面影」など、今治藩に関する史書に近見山に雉が生息していることは記載されていますが「せんざんき」という記述がないことから、この説は根拠が薄いようです。
 2つ目の説は、近見山の麓に住んでいた「千さん」という人が考案し、キジ肉を使ったことから「千さんキジ」というものです。「今治夜話」、「今治拾遺」によると、今治の千さんは千利休の末裔で「千家の同姓、鳥生に在り」とあるものの、「せんざんき」についての記載は見つからないそうです。このことから、この説も後から作られた説だと思われます。
 3つ目の説は、鳥肉を千くらいに小さく切ることから「千斬切(せんざんき)」という名前になったというものです。しかしながら、実際には鶏肉のブツ切りであって、「小さく切った」料理ではありません。しかも「千」に切ったというような小さい鶏肉は見たことがありません。また、単に「小さく切った」ということが語源であれば、鶏肉である必要はありません。この説は「せんざんき」という名称から当て字を探したように思います。
 4つ目の説は「中国語」の読み方から来ているというものです。中国には骨付鶏の唐揚げである「軟炸鶏(エンザーチ)」や、骨なし鶏の唐揚げである「清炸鶏(チンザーチ)」という料理があるようです。いずれも、衣をつけて揚げた鶏肉料理で、これらが元となって「せんざんき」になったという説です。この説を裏付ける話として、北海道の「ざんぎ」という料理が挙げられます。「ざんぎ」も鶏の骨付き肉を唐揚げにして、ソースをつけた料理ですが、「ざんぎ」の名前の由来は、中国料理の「炸鶏(ザーギー)」からといわれています。このような特徴的な名称が似ているということは、「せんざんき」も中国語から来た名称ではないかと思われます。
 この「せんざんき」を広めたのは今治市の港町、現在の今治市室屋町の菅拓三商店があった場所にあった杉山正夫氏がやっていた「スター」というお店だそうです。(1969年(昭和44年)に閉店したそうです。)
 「スター」は最初、カフェーだったそうです。昔、港町と呼ばれていた場所で営業しており、鰻の寝床みたいな細長い店だったそうです。カウンターが14~15席とテーブル席が4席ほどあったそうです。カフェーといいながら、刺身も出しており、小料理屋のようなお店だったそうです。
 杉山正夫氏の娘さん、千鶴子さんの話では、正夫氏が満州に兵隊で行った時、中国の人に教えてもらったのが「せんざんき」という料理だそうです。当初は「センザンチー」と言っていたようです。日本でメニューに加える時、最後の「チー」と言うのは語呂が悪いので「き」に替えて「せんざんき」と名付けたそうです。
 当時、鶏は高級だったため、五軒道路の鳥豊(現在の阿部商店)で赤どりを丸ごと買ってきて調理していたそうです。「せんざんき」は滋養がつくと言って、よく注文されていたそうです。千鶴子さんの話では、当時の「せんざんき」は、現在の「せんざんき」とは味が違っていたそうです。今の鶏は肉自体に味がないですが、当時の鶏肉は味が濃いと言うか、しっかりした鶏の味があったそうです。また、衣ももっと薄かったようです。
 昭和30年頃はスターの「せんざんき」が県下でも話題になっていて、今治駅でタクシーに乗って「せんざんきの店に行ってくれ」と言ったら「スター」に行けたそうです。「せんざんき」を食べようと、この店に長蛇の列ができたそうです。「スター」の「せんざんき」が有名になったため、今治地域では真似をするお店が増え、広がっていったようです。





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