中国茶のお話

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更新日:
 2008年9月28日






◎中国茶の話
 中国では「茶」は「茶:chá」とも「茗:míng」とも呼ばれます。中国の伝説では、“神農”の時代からお茶が飲まれてきたと言われています。ちなみに“神農”とは、古代中国の伝説上の帝王で、木を切って鋤(すき)や鍬(くわ)を作り、人々に、それらを使って畑を耕すことを教えたことから、「五穀神」と呼ばれ、農耕の神として祀られています。また、彼は百草を毒味し、365種類の薬草を識別したことから、「薬王」とも呼ばれ、医薬の神としても祀られています。さらに、蝋燭を作り、火を司る役人も設置したため、炎帝とも呼ばれています。実在の人物ではなく、いわゆる神話ですね。つまり、中国の人は、神話の時代から「茶」を飲んでいたということで、茶は中国の人にとって、切り離すことができない文化である、ということのようです。
 お茶に関して書かれた最古の文献としては、紀元前59年の前漢時代に「茶」という意味に最も近い文字とされる、「荼」の字が初めて使用された「僮約」が王褒によって記されました。「僮約」とは奴隷との契約文であり、その中にある「武陽買荼」の「荼」という字が「茶」に当たるようです。「僮約」には漢代の神爵3年(紀元前59年)正月15日という日付が記されています。この奴隷の主人は四川省の成都の人物で、成都から武陽までは約80km、徒歩で往復すると6~7日はかかる距離です。「僮約」には、成都から武陽まで荼を買いに行くことが、奴隷との契約文として記載されています。すなわち、当時、既に茶が商品となっていたという証拠でもあります。ただし、当時は通常の飲み物というよりも、薬としての役割が強かったようです。
 中国で、お茶が広く飲まれるようになったのは、唐の時代のようです。8世紀には陸羽が『茶経』というお茶に関する本(上、中、下の3巻、十節からなり、植物学、農芸学、生態学、生化学、薬理学、水文学、民俗学、史学、文学、地理学、鋳造および、製陶まで、幅広く記されている)をまとめています。この頃、お茶を火にかけて煮出す方法や、抹茶、煎茶など、様々な楽しみ方が開発され、また、茶器の原型といわれるものが多数考案されたようです。
 宋の時代には、新たに『点茶』が考案されたり、闘茶などの遊びも考案されたようです。また、お茶が主要な輸出品となり、お茶の販売は、専売制度で規制されていたようです。
 明の時代には、お茶の製造方法、飲用方法に大改革が起き、それまでと一変してしまいました。散茶が主流になり、『沖泡』という言葉が使われ、お茶の楽しみ方が簡略化されました。また、福建省や広東省では、烏龍茶の『功夫(工夫)茶』が流行りました。お茶だけではなく茶器も発展しました。急須は、この時代に生み出されたものです。
 さらに清の時代には、茶器が現在、使われている茶器とほぼ同じ物になりました。また、清政府がお茶の専売制度を改め、自由にお茶の生産と販売ができるようにしたため、庶民の間に急速にお茶が広まり、この頃から、お茶が庶民生活の必需品となったようです。

・中国茶の分類
 1978年に中国、安徽省の安徽農業大学の陳椽(ちん・てん)教授が提唱した『六大分類法』が有名です。現在では、この六大茶(緑茶、白茶、黄茶、黒茶、青茶、紅茶)に花茶を加えた7種分類法が最もポピュラーな分類方法として知られています。
 陳椽教授が提唱した六大分類法は、発酵の度合いの違いによって分類しています。以下に、それぞれの詳細をまとめます。

1. 緑茶(不発酵茶)
 日本の緑茶とは製法が異なります。蒸すのではなく、釜炒りにて茶葉の発酵を止めます。中国茶の中で最も古い歴史があり、中国で最も代表的なお茶です。中国茶の生産量の約70%が緑茶だそうです。
 一般的な製法は、「殺青 → 揉捻 → 乾燥」です。

2. 白茶(弱発酵茶)
 生産量が少ない貴重なお茶です。茶葉に「白毫」と呼ばれる白い産毛が生えた若い芽で作られます。爽やかで、ほんのり甘みのある、上品な口当たりです。
 一般的な製法は、「萎凋 → 乾燥」です。

3. 黄茶(弱後発酵茶)
 生産量が少ない貴重なお茶です。緑茶に近い味わいですが、水色は黄色です。
 一般的な製法は、「殺青 → 揉捻 → 乾燥 → 悶黄 → 乾燥」です。

4. 青茶(半後発酵茶)
 青茶には色々な種類があります。代表的なものは、烏龍茶です。半発酵といっても、その範囲は広く、8%程度(包種茶)の発酵度合いから80%(紅烏龍)程度の発酵度合いまで、様々です。そのため、味や香りのバリエーションも非常に豊かで、発酵度が高くなるにつれて、香りや味も淡いものから芳醇なものへと変化します。
 一般的な製法は、「萎凋 → 揺青 → 殺青 → 揉捻 → 乾燥」です。

5. 紅茶(完全発酵茶)
 茶葉を完全に発酵させて作るお茶です。紅茶と言うと、中国茶とは関係ないような気がしますが、もともと紅茶は、中国の福建省武夷山の烏龍茶を進化させて、安徽省の祁門で紅茶が生まれたようです。1870年代の前期、福建省での官職を辞した余干臣が、故郷の安徽省東至県に帰り、茶商となったそうです。その時、福建省での在職中に知った福建省の発酵茶である「工夫茶」の作り方を祁門県の茶家に教え、紅茶作りを勧めたそうです。
 安徽省祁門県の農業家、胡元龍は彼の提案を受け入れ、1875年から紅茶の製作を始めることにしたそうです。胡元龍は、まず、紅茶製作の方法を各地に視察しに行き、自宅に胡日順製茶工場を建て、専門家を大金で招き、紅茶生産と製茶方法の改良に努めたそうです。
 胡元龍が作った紅茶は、その後、欧州の茶商から高い評価を受け、祁門紅茶が世界中に知られるようになっていきました。この功績から、胡元龍「キームン紅茶の始祖」と呼ばれています。
 一般的な製法は、「萎凋 → 揉捻 → 発酵 → 乾燥」です。

6. 黒茶(後発酵茶)
 緑茶に麹カビを繁殖させて発酵させます。独特の熟成された味わいと香りが特徴です。プーアル茶が有名です。
 一般的な製法は、「殺青 → 揉捻 → 渥堆 → 乾燥」です。

7. 花茶
 様々な茶葉に花の香りを吸収させたものと、花そのものを乾燥させ、茶葉と混ぜたものがあります。工芸花茶は、湯を注ぐと花が咲くように茶葉が開き、花の香りが上品に漂います。

・製法
 製法に記載した単語の読みと意味は、以下の通りです。

 殺青:さっせい:茶葉の酸化を、熱を加えて止める作業。
 萎凋:いちょう:茶葉の水分を蒸発させる作業。
 揺青:ようせい:茶葉を撹拌し、酸化を早める作業。
 揉捻:じゅうねん:茶葉を揉んで、形を整える作業。
 悶黄:もんおう:茶葉を蒸らす作業。
 渥堆:あくたい:茶葉を重ね、放置して微生物や菌を繁殖させる作業。
 発酵:はっこう:揉捻した茶葉を酸化させて発酵を高める作業。
 乾燥:かんそう:茶の種類によって乾燥のさせかたが異なります。




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