カステラのお話

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更新日:
 2012年10月27日






◎カステラ(Castella)(1996年1月11日)
 カステラは、小麦粉に鶏卵と砂糖、水飴とを混ぜて焼いた菓子です。卵に砂糖を加え泡立てた後、水飴を加え、更に攪拌します。泡立てたものに水飴を加えることで生地がしっとりするそうです。その後、この生地に小麦粉を加え、軽く攪拌し、枠紙を貼った木枠の中にこの生地を流し込み、高温の釜で焼き上げると完成です。
 一般的な説では、16世紀の室町時代末期に、ポルトガルの宣教師によって長崎周辺に伝えられたとされています。当初のカステラは卵、小麦粉、砂糖で作った簡素なものだったようです。しかし、乳製品を用いないため、当時の日本にも受け入れやすかったようです。このため日本に合わせた形で工夫、改良がされたものの、現在まで、伝わっているのだと思われます。
 名前の由来は、カステラを持ってきたポルトガル人に、その菓子の名前を聞いたところ、ポルトガル人が「カスティリア(Castilla)のお菓子だ」と言ったのに、それを「カスティリア」という名前のお菓子だと勘違いした、という説が一般的です。ポルトガル語では、「カスティリア(Castilla)」の発音が「カステーラ(Castela)」なのだそうです。
 実際に、ポルトガルには「カステラ」という名のお菓子は無いそうです。それでは、一体、どのような菓子が、カステラの元となったのでしょうか。諸説がありますが、パン・デ・カスティーリャ(pão de Castela:スペインのカスティーリャ地方のパン)、ビスコーチョ(Bizcocho:スペインのお菓子。元々は乾パン状で、船乗りの保存食でしたが、16世紀末頃に柔らかく焼く方法が生まれているそうです。)や、パン・デ・ロー(pão de lo:ポルトガルの焼菓子。卵に砂糖と小麦粉を混ぜあわせた生地を、陶器などの型に入れてオーブンで焼きあげたものです。現在のカステラと最も違うところは、中心部の焼き加減です。柔らかい焼き加減から、半生のようなクリーム状まで、色々とあるそうです。)などだと言われています。
 原料や製法から考えると、パン・デ・ローが近いようですが、この場合は「カステラ」という名前とのつながりが分からなくなってしまいます。実際には、いろいろな種類のお菓子が持ち込まれたのではないでしょうか。いろいろな菓子と名称が混在している中、たまたま「カステラ」という名称と「パン・デ・ロー」が混同されてしまったのかもしれません。正しいことは分かりませんが、ポルトガル人から教えられ、日本人の味覚に合わせて発展したものが現在のカステラだと言えるのではないでしょうか。
 日本のカステラは長崎が本場とされています。長崎県長崎市の福砂屋が日本で最初にカステラの製造、販売を始めたそうです。福砂屋は1624年、寛永元年の創業です。1983年(昭和13年)に長崎市が刊行した「長崎案内」という冊子には、「寛永元年に、殿村某、葡萄人(ポルトガル人)より本品製法を伝授せられたもので原名をカストルボルと謂ふのである。カストルは西班牙の州名で、ボルは同国語の菓子の意だといふ。漸次改良を加えられ、その風味は他に模倣することの出来ない独自のもので、現今に至っては、本邦に於ける名菓の一つとなったのである」との記述があるそうです。
 福砂屋のカステラは「ふっくらとして、しっとりとした」独特な口当たりと、濃厚で風味豊かな味わいが特徴です。福砂屋のカステラ作りは、卵の手割りから泡立て、混合、撹拌、釜入れ、焼き上げまで、一人の職人が一貫して行っているそうです。これが、ポルトガル人から伝えられた伝統の作り方だそうです。
 カステラの口当たりや風味は、ほとんどが生地作りで決まるため、この時が最も神経を使うのだそうです。泡立ての方法には共立法(ともだてほう)と別立法(べつだてほう)があり、福砂屋のカステラは別立法です。別立法は卵を黄身と白身に分け、まず、手で白身の泡立てを行い、その後、黄身とザラメ糖を加えて撹拌する製法です。
 長崎のカステラは、底に残るシャリッとしたザラメ糖の口当たりが特徴です。福砂屋では、材料を撹拌する時、ザラメ糖の角をすり減らしながら生地になじませるそうです。ザラメ糖を全て溶かしきるのではなく、わずかに残して底のほうに沈殿させるのが特徴です。40年近くカステラ作りを続けてきた職人は、ザラメ糖を入れた後に攪拌する際、響く音と腕に感じる感触で、混ぜ加減を調節するのだそうです。溶けたザラメ糖は味わいに深みを、角が磨り減って底に残るザラメ糖は食感に広がりをもたらす効果があります。
 ザラメ糖を混ぜた後、小麦粉を入れます。職人たちは、手の平に感じる粉の質感で、その日の混ぜ加減を調整するそうです。同じ材料を同じ分量だけ使っても、季節、気圧、湿度などに大きく左右されるのだそうです。
 別立法で丁寧に作られた生地を、木枠に流し込んで焼き上げます。焼く時は生地を水平にならす“ツヤ切り”と呼ばれる行程を何度か行い、全体に均等に熱が行き渡るようにします。これによって表面にツヤが生まれるのだそうです。
 こうして焼き上がったカステラを一昼夜熟成させ、甘味と香りを凝縮させます。その後、検査をして合格したカステラだけが市場に出回っているそうです。





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